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ブランディングも段取り8割

2020年東京五輪・パラリンピック公式エンブレムの最終候補作品4点が公表されました。

印象としては、、デザインを行う前過程及び審査環境に問題を感じました。

それは候補のデザインのコンセプトに共通要素が感じられないことにあります。

この問題は国立競技場が最終的に非常に似通ったコンセプトの2案になっていたことを思い出すと解り易いかもしれません。 デザインによる「ブランディング=信用」の為には、要件を整理し適切な表現手法で解りやすく伝えなくてはなりません。

それに気づいてコンペをやり直した国立競技場と、気づかずにやり直したロゴマーク。

2つには大きな違いがあります。

国立競技場は、デザインを行う前に競技場の存在意義、オリンピックに必要な機能、世界に発信すべき日本の文化といった達成要件を明確にした為に、隈研吾さんと伊東豊雄さんの2つの案は非常に似たコンセプトで作成されました。 面白みに欠けるコンペだったかもしれません。しかし、はっきりとしたゴールを用意することで、遵守すべきことと自由な部分を明確にして、高いレベルのコンペをおこなった選定委員の働きは素晴らしかったとおもいます。

一方で、ロゴマークはどうでしょう。。逆です。

あまりにも自由すぎます。。

「自由な発想でのびのびと!ロゴマークづくりをみんなで楽しみましょう!」というのでは税金の無駄遣いです。デザイナーにプランニング能力や経営コンサルティング的要素が求められる時代で、私自身も多くの案件でコンサル・プランニングのフェーズから関わっています。

しかし、企業ブランディングなどであれば、企業の決裁者と納得のいくまで議論し、要件を固めてからデザインをおこなうことができますが、コンペは提示された要件が全てであり、提示のない部分は「予想」の範囲ですすめるしかありません。

曖昧な要件定義で「的」を隠していてはそもそも正しいデザインはできないのです。

採用されたとしても、それは、「目をつぶってなんとなくキャッチャーの声が聞こえる方に投げたら ストライクだった。」というのとと同じです。もちろん最終4案をみるとデザイナーがどこに「的」があるかを、察して当てたスキルが凄いのですが、そもそも主催する方がアリなものとナシなことを明確にしないのは無駄が多すぎます。

私もさまざまな商品・サービス・店舗のトータルデザイン及びブランディングを生業としていますが、若かりし頃はデザインの前のヒアリングやプランニングが曖昧だった為に、製作途中に2転3転して結果的に何も伝わらないデザイン、何の効果も出ないデザインをしてしまったというような苦い経験があります 。。 今はそんなことにはなりませんが、プロジェクトを重ねるほどにデザインの前行程の大切さを実感する日々です。マーケット・戦略・理念を理解し、ブランド戦略・販促戦略をプランニングに費やす時間は増える一方です。

ブランディングは段取りが8割。 しっかりとクライアントと一体になって「的」のド真ん中を射抜く仕事をやり続ける! と改めて誓った1日でした。

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